ストーカー行為は被害者の心身に深刻な影響を及ぼす重大な犯罪です。
日本では「ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)」に基づき、警察が被害者を保護し、加害者に対して厳正な対応を行っています。
本記事では、ストーカー規制法に基づく警察の対応策と、被害者を守るための制度について詳しく解説します。
ストーカー規制法の概要と対象行為
ストーカー規制法は、特定の者に対する恋愛感情や好意の感情、またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で行われる「つきまとい等」や「位置情報無承諾取得等」を規制し、被害者の身体、自由、名誉を守ることを目的としています。
規制対象となる行為
以下の行為が繰り返し行われる場合、ストーカー行為と認定されます。
-
つきまとい、待ち伏せ、押しかけ、うろつき
-
監視していると告げる行為
-
面会や交際の要求
-
乱暴な言動
-
無言電話、連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNS・文書等
-
汚物等の送付
-
名誉を傷つける
-
性的しゅう恥心の侵害
-
GPS機器等を用いて位置情報を取得する行為
-
GPS機器等を取り付ける行為等
これらの行為が反復されることで、ストーカー行為として処罰の対象となります。
警察による対応策
警察は、ストーカー被害の相談を受けた際、以下の対応を行います。
初動対応
-
相談者やその家族の安全確保のための保護措置
-
加害者への事情聴取や口頭警告
-
必要に応じた捜査や証拠収集
警告と禁止命令
-
警告:警察本部長等が加害者に対し、つきまとい等をやめるよう警告します。
-
禁止命令:都道府県公安委員会が、加害者に対し、つきまとい等を禁止する命令を出します。
これらの措置に違反した場合、加害者は罰則の対象となります。
被害者を守るための制度
ストーカー被害者を支援するため、以下の制度が設けられています。
相談窓口
-
警察署:各都道府県警察に相談窓口が設置されています。
-
女性相談支援センター:女性の様々な問題に対して、相談・保護・自立支援など専門的支援を行います。
-
配偶者暴力相談支援センター:配偶者からの暴力被害者に対して、相談、カウンセリング、保護命令制度利用等の情報提供、自立支援を行います。
-
法テラス:法的トラブルに関する相談内容に応じた相談窓口や法制度に関する情報を提供しています。
保護措置
-
一時保護施設の提供:警察や支援センターが、被害者のために一時的な避難場所を提供します。
-
住民票の閲覧制限:加害者からの住民票の写し等の請求を制限する措置が、市区町村で実施されています。
-
戸籍の手続における支援措置:被害者の住所等が加害者に知られないよう、戸籍の届書等の記載事項証明書等の発行時に配慮されます。
被害を防ぐためのポイント
ストーカー被害を未然に防ぐため、以下の点に注意しましょう。
-
早期相談:被害を感じたら、すぐに警察や相談窓口に相談しましょう。
-
証拠の保存:メール、SNSのメッセージ、手紙など、加害者からの連絡は保存しておきましょう。
-
個人情報の管理:住所や電話番号などの個人情報は、信頼できる人以外には教えないようにしましょう。
-
防犯対策の強化:自宅の施錠、防犯カメラの設置、外出時の注意など、防犯意識を高めましょう。