相続手続きにおいて、相続人や親族の所在が不明な場合は、市役所を通じて住民票などの公的書類を取得し、調査を行う必要があります。
本記事では、相続人調査に必要な住民票・戸籍の取得方法や、その際の注意点について詳しく解説します。
相続人調査の必要性と目的
相続手続きでは、すべての相続人を確定する必要があります。相続人の中に一人でも連絡が取れない人がいると、遺産分割協議が成立せず、相続全体が滞ってしまいます。
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被相続人が遠方に住んでいた場合
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家族と疎遠で連絡が取れない親族がいる場合
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離婚や再婚によって関係が複雑になっている場合
このような場合は、行政書類を使って正確に相続人を特定する必要があります。
相続人を調査するために必要な書類
相続人調査に必要な主な書類は以下の通りです。
(1)戸籍謄本
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被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(改製原戸籍・除籍謄本含む)
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相続人(配偶者・子・兄弟姉妹など)の現在の戸籍
(2)住民票・戸籍附票
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相続人の現住所確認用
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被相続人の最終住所確認用
(3)住民票除票
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被相続人が亡くなった際の最終的な住所を確認するための書類
住民票の取得方法と具体的な手続き
(1)申請できる人
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本人
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同一世帯の家族
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正当な理由がある第三者(相続手続き中の相続人など)
(2)取得方法
窓口での申請
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本人確認書類を持参
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申請書を記入
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手数料(1通あたり200〜400円程度)を支払う
郵送での申請
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申請書を作成
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本人確認書類の写しを同封
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定額小為替(手数料分)を同封
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返信用封筒に切手を貼って同封
オンライン申請(一部自治体のみ)
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マイナンバーカードと対応するカードリーダーが必要
戸籍附票と住民票除票の違いと使い方
(1)戸籍附票
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本籍地に記録されている住所履歴
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転居の経緯や時系列を確認できる
(2)住民票除票
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転出・死亡などにより住民票から除かれた記録
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被相続人の最終的な居住地を証明する書類
ポイント:住民票除票は令和元年6月20日以降、保存期間が150年に延長されました。それ以前は5年だったため、古い除票はすでに破棄されている可能性があります。
市役所での申請時の注意点
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第三者が申請する際には「正当な理由」の記載が必要(例:相続手続きのため)
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相続人であることを証明する戸籍謄本を添付することが望ましい
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個人情報保護の観点から、不備があると開示が拒否されることがあります
相続人調査でよくあるトラブルと対処法
トラブル内容 | 対処法 |
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必要な戸籍が複数の自治体に分かれている | 各自治体へ個別に郵送請求する。戸籍の附票で転籍先を追う |
住民票除票が廃棄されている | 他の書類(固定資産税通知書など)で住所を確認する |
住民票取得が拒否された | 相続に関する資料(遺言書、遺産分割協議書の写しなど)を添付して再申請 |
専門家に依頼するメリットと選び方
司法書士や行政書士などの専門家に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
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必要書類の網羅的な取得
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戸籍の読み解きと法定相続人の正確な特定
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相続手続き全体のサポート
選び方のポイント:
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相続業務の経験が豊富かどうか
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地元の市区町村役場との連携実績があるか
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明朗な料金体系であること
まとめ:相続人調査は早めに正確に行うことが重要
相続人や親族の所在を市役所を通じて調査するには、住民票・戸籍・附票・除票などの公的書類を適切に取得し、法定相続人の確定を行う必要があります。手続きには法律や自治体ルールへの理解が必要なため、専門家の力を借りることも検討しましょう。
相続手続きをスムーズに進めるためにも、「情報収集は早めに・慎重に」を心がけましょう。